作って終わり、ではない
成長し続けるUX/UIデザインを

シニアUXディレクター/クリエイティブディレクター
Taiji Nishimoto / 西本 泰司
PROJECT

Client

NTTコミュニケーションズ株式会社、株式会社コードタクト

Delivered

プロジェクトマネジメント、リサーチ、UXデザイン、UIデザイン

Summary

小学生が一人1台の情報端末を持ち、ICT教材(※)を使って学ぶ時代は、間近だ。そんな学習環境を整えるため、総務省や文科省は実証実験を進めている。NTTコミュニケーションズと教育系スタートアップであるコードタクトが共同で、教育系アプリを使うためのプラットフォーム『まなびポケット』構築を担当した。
※…Information and Comunicaion Technology

Team

情報をそろえ、分析し、
迷わず進める計画をつくる

NTTコミュニケーションズとコードタクト両者が組むことによって営業、サービス、UXデザイン、開発の機能が、すでに備わっている座組。そこで西本が意識したのは「介在価値があるところに、しっかりコミットする」ことだ。UXデザインに関してはリサーチ設計や実行で並走しつつ、それらをインプットに、UIを改善することに的を絞った。そして、一気通貫でプロジェクトが進められるよう、デザインチームの体制を整えた。

関わる人材……ディレクター、アートディレクター、デザイナー

使う人のリアルに迫ることで
アウトプットが見えてくる

西本がこのプロジェクトに参画したとき、プロトタイプはすでにICT教育推進の指定校などで使われていた。教師と子どもが、宿題や日々の連絡事項をやりとりする専用アプリだ。

「各所のさまざまな要望を盛り込んだ結果、使いづらくなってしまった現状のアプリを、いかに気持ちよく操作できるようにするか。実際に活用している教師や子どもたちの現場に触れることで、機能の取捨選択の判断が容易になりました」と、西本は振り返る。

「なかでも詳しく話を聞いたのは、ICT支援員のみなさん。学校のICT環境を整えるため、アドバイザーとして派遣されている方々です。最終的には、この方々がいなくても使えるプラットフォームを作らなければいけない。だから、操作に対して何がネックになっているのか、どんな機能が必要なのか、実情を教えていただきました」
ものづくりをするときに役立つのは、豊かな情報だ。こうして集めたデータを糸口に、西本は最適なアウトプットを模索した。

どんな状況からでも、
正しいゴールを導き出す

フィールドリサーチで得たユーザー情報を手に、具体的なUX/UIの改善計画を練っていく。
たとえば、授業の現場には「教える」「問う」「聞く」「渡す」「把握する」「示す」「取り組む」「評価する」といったアーキタイプが存在する。アプリ上で行う操作や行動を、各アーキタイプに振り分けて、さらに優先度を検討。どんな機能を追加するか、もしくはどの機能を外していくか、さまざまな角度から整理していった。

機能のポジションがおおかた定まったところで、西本は絵を描いた。
「ここまでの膨大な情報をかみ砕いて、いったんUIに落としてみるのは僕の役目。その絵を見て、クライアントや各所にフィードバックをもらったところから、デザインチームに手を動かしてもらいます」
すでに使われているプラットフォームがあるからこそ、UX/UIデザインの調整には手間がかかった。ゼロからまっすぐゴールを目指すほうが、あるいは簡単だったかもしれない。
「でも、理想的な打席なんてそもそもないんです。いつだって何かしら制約のある状況でものを作っていくのがリアル。だけど、それが面白いんですよね」と、西本は言う。

デザインもUIも妥協せず、
公開しても育ち続けるもの

デザインコンサルティングの会社は、見た目を大事にするあまり、UIを軽視してしまうところがある。とくに、改善することが前提となるプロトタイプでは、その傾向が顕著だ。しかしフォーデジットのデザインチームは、最初からどこにも妥協をしない。西本がざっと描いたアイディアを下敷きにして、情報を分かりやすく伝えるけれど世界観も壊さないUIを生み出すのだ。
「僕はまずリサーチに力を注いでいるから、UIを作るときはある意味へとへとなんです。でも、そういうときにデザインのメンバーが踏ん張ってくれる。そうやって補い合えれば、僕は全体を見て、必要なジャッジを下すだけでいい」と、西本は微笑む。

綿密なリサーチと細部まで気配りの行き届いたデザインで、新しいプラットフォームは無事にローンチされた。姿を変えた『まなびポケット』が一人ひとりの生徒に寄り添い、能動的な学びをサポートする。
「今回のプロジェクトでは叶わなかったけれど、本当は、公開してからどんどんよくしてゆく仕事がしたい。いうなればサグラダ・ファミリアのように、クライアントと僕たちが協力しあって、育ち続けるプロジェクトが理想です」
ローンチして終わり、ではない。作ったものに責任を持ち、よりよいものに改善し続けるのが、彼らの姿勢だ。

よいものを作り続けるために
個を尊重するクラフトマンシップを

どのような案件に取り組むときも、西本は「やったことのないことをやりたい」と言う。たとえば、フォーデジットのオフィスを刷新するときのプロジェクトマネージャー。自社ブランディングの一環である広報ツール制作。どれも経験がないからこそ、手を挙げて飛び込んだ。「新しいチャレンジをしたり、視点が変わることで得られるものは、大きいから」。
フォーデジットのシステムを変えていくことも、視野にある。新しいビジネス領域を切り拓いたり、これまでにないバリューを発揮する仕組みをつくったり――シニアUXディレクターとして培ってきた経験を、社内にも還元する時期にきているようだ。

「よいものは、よい人でしか作れません。だから、よいものをみんなで作っていくための基盤をつくりたい。これからのフォーデジットに必要なのは、お互いが刺激をもたらしあって、競争しながら前に進めるような、個を尊重するクラフトマンシップ・メソッドです」
会社の制約を超えて、それぞれに伸びていける仕事をする。西本がいま描いているのは、一つひとつの案件の先を行く、未来の自分たちだ。